ひとりひとあめ
- 6月16日
- 読了時間: 4分
更新日:7月2日
帰ってきた雨音
雨は最高の音楽だね。
あなたの雨は何色?
私の雨はホルベインのW061ビリジャンヒュー。
雨の森の香りを深く吸い込むのって至福だし、苔むした岩とかがしっとり濡れた姿はなんか可愛い。たまに来る大きな粒ぴょこぴょこ跳ねる葉っぱも好き。雨上がりには空いっぱいに虹が来てくれるかもしれなくて素敵。最初から最後まで素敵でしょうがないよね。
しかしそんな綺麗な雨の日は変わってしまいました。昨年の梅雨から。
ずぶ濡れでテントを立てるとか、20kgのウェイト持ち上げようとしたらつるつる滑るとか、足に落とすとか、設営撤去しながら身体中つるとか、ビェッショビェショで車のエアコンに乾かされて凍えるとかいう雨のテンプレが染み付いてしまい。あちこち痛い思い出が雨の匂いと結びついて、四角い灰色の空はただのどんよりになってしまった。悲しいことよ。
でもね。
いつも週末は野外でHPの限界を知ったり知らなかったりするんだけど、今週の雨の週末は珍しく一日中事務所に籠ってお絵かきしてたの。
BGMにJAZZなんか掛けちゃったりして心穏やかにイラストレーションと向き合ってたら、ふと外から聴こえる雨の音が、あの頃の綺麗な雨の音と同じに聞こえた。
懐かしい雨の香りがする。実家の庭の、小学校の裏山の、高校の美術室の「なんて綺麗な日」と思いながら絵を描いていたあの雨と同じ雨がまた降り注いでくれたのよ。凄いよね。
いま私の道に戻ってきたんだなって明確に分かって面白かった。外作業をしてた同期たちにとってはかなりジメジメで忌々しき土砂降りだったよね。夜には「ア゛ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙💢」って地獄から這い上がって来たみたいな顔の皆さんが帰ってきたから。

誤解だ離せ
今週はイラストレーションと向き合いました。
向き合ってみて発見がありました。[イラストって分からなすぎる]
・イラストを描くために実物を見る←正解とは限らない
・実物をイラストの目で見るために大量のイラストを見る←近道な氣がする
実際にはありえない人体の形について、時代の流行やイラストの歴史を踏まえて美しいと感じるラインを推し量り、大勢にとって違和感のない有り得なさの中のあり得るラインを探れという暴論。
むりだよ……絵画出身だからそう思うのか……?
イラストの中でもここ半年で「アニメ絵」と呼んでいるやつに手を出した。
瞳がちゅるりちゅるりとしていて顎が尖っていて鼻が点のやつ。
大変な所へ来てしまいましたね。
デッサンではモデルのプロポーションに正解があるけれど、ここには正解がない。過去にインプットしてきた美しさの偏見が試される。が、引き出しに試せるほどの資料がなかったのでインターネットの海へ漕ぎ出す。見境なく物資をかき集めて船が沈まぬ程度に選別し持ち帰る。許容量はマイクラのボートくらいしかない。
ああでもないこうでもないと首を捻る。
ほーん、キミこれを綺麗だと思うんだ。
知らぬ間に積み上がった美意識という偏見を開示することになる。恥ずかしいったらありゃしない。
赤面して描いています。誇張ではない。
絵画は「何に美しさを見出すか」を開示する。だから氣もち良くなれる。だってコレだ!って決めて向き合ってちゃんと映し出せた真摯のやつだから。意図してるやつだからだ。
イラストは「何を綺麗だと思うか」を把握される。いやそれは意図してない。私はそんな事思ってない!この太もものお肉具合ならお胸はこれくらいがベストだなんて思ってない!!ネコ目と三白眼と囲み目メイクがやたら多いのは違うんだ!私の顔に描けないタイプのアイラインだからつい!!これは私じゃない!嵌められたんだ!!違う、離してくれ!!
やっぱイラスト恥ずかしいよ。ヘラヘラしちゃう。
イラストを描いているひとはこの羞恥を乗り越えてるのかな?悟りの領域で書いているんだろうか?
予備校時代の藝大受験前シーズンと同じくらい描いた一週間でした。これが続いていくと思うと。
あっ舟が沈んでいる。寝ます。
週2の休みをくーだーさいできたら愛してくだーさい
2025.6.15 ZEN
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